映画

岩井俊二と是枝裕和

岩井俊二と是枝裕和

映画監督の岩井俊二さんが、最新作『ラストレター』公開に先駆け、出演者の福山雅治さんのラジオ番組にゲスト出演。

番組内では、同じく映画監督で作風は違うものの、同世代として岩井俊二監督に憧れを抱いていたと言う是枝裕和さんから届いた『ラストレター』の感想とメッセージが紹介された。

岩井俊二という作家の匂いを強烈に感じる作品でした。街も廃校も、そこを歩く少女も、すべてのショットに岩井さんの愛が溢れている。故郷を八ミリフィルムで撮影した、プライベートフィルムのような手触りがほんとうに愛おしく、キャリアを重ねた監督が、五十代を迎えてこんな作品を生み出したということに、同世代の作り手の一人として素直におめでとうと伝えたいです。

この物語の中心は、意外にも少女ではなく、福山さん演じる乙坂鏡史郎だと思うのですが、彼がいい意味で情けなく、格好悪いんだなぁ。それを福山さんが見事に、自身のかっこよさを消して演じているのが素晴らしかったです。

出典 :『福山雅治の福のラジオ(二〇二〇,一,一八)』

是枝監督が昔から岩井さんのファンだということは、岩井俊二監督自身はよく知らなかったと言う。

今回、『ラストレター』に福山さんが出演するという情報もいち早くキャッチしていた是枝監督。知ってるんですね、と福山さんが問いかけると、「実は僕、岩井俊二フリークなので」と是枝監督が福山さんに語ったと言う。

まだ九十年代、是枝監督が思うように自分の映画を撮れなかった頃に、岩井監督がもう第一線で映画を撮っていたことから、同世代で頑張る原動力になっていたそうだ。

二人は特にプライベートで仲がいいというわけではなく、過去に国際映画祭のときに一度、一緒に食事に行ったことがあるのと、突発的に何度か、といった程度だと岩井さんは語っている。

ラジオのなかでは、最新作『ラストレター』の裏話として、これが実際の監督自身の経験やエピソードも盛り込んだ自伝的作品であること、作中に出てくる小説が、二〇〇頁くらいのボリュームで出版はされていないものの実在(岩井さんが執筆)し、福山さんに役作りの一環として渡したことなども紹介される。

福山さんは、あれがあったから鏡史郎になれた、と語る。また鏡史郎が岩井さん自身をモデルにしたものだろうと思い、色々と質問したと言う。

大学時代に映画研究会に所属し、劇中で彼らが撮っている映画も、学生時代に岩井監督が撮っていたものをモチーフにしていることや、「美咲のモデルになった女性は?」という福山さんの問いに、大学時代に出会った女性などが凝縮されて、と少しぼかしながらも答えていた。

また、岩井俊二監督が学生時代に撮っていた作品に黒木香さんが出演していたという過去も明らかに(黒木香さんは岩井さんと同じ横浜国立大学教育学部美術学科出身)。『全裸監督』のプロデューサーに岩井監督がその話をしたら知らなかったそうだ。

他にも、漫画『闇金ウシジマくん』で、ウシジマくんが中学時代の同級生の友人を施設に送ることになる、という過酷な選択をしながら泣く、という場面で「ぐはっ」と声が出て岩井さんも泣いた、という話も興味深った。

岩井俊二

一九六三年生まれ。宮城県仙台市出身。横浜国立大学教育学部美術学科卒業。映画監督、脚本家、音楽家。代表作は、『スワロウテイル』『花とアリス』『リップヴァンウィンクルの花嫁』。

岩井俊二『ラストレター』予告編

是枝裕和

一九六二年生まれ。東京都練馬区出身。早稲田大学文学部文芸科卒業。映画監督、ドキュメンタリープロデューサー。代表作は、『誰も知らない』『そして父になる』『万引き家族』。

是枝裕和『万引き家族』予告編

0
ABOUT ME
uta
uta
桜のきれいな町に住んでいるピエロです。