思考メモ

金木犀を見たことがない世界線

金木犀を見たことがない世界線

秋の初め頃に、ふわっと道端に、金木犀の幻惑的で甘い香りが漂う。開花時期は9月〜10月頃で、花はまもなく散る。

金木犀は、秋の訪れを感じさせる風物詩として知られるが、これまで人生で一度も金木犀を見たことがない、匂いを知らない、というひともいると思う。

北海道のように寒さで金木犀が自生しない地域に住んでいるひともいるだろうし、実は近所に咲いていても、金木犀という花を意識してこなかった、というひともいるのではないだろうか。

僕も、大人になるまで金木犀を見たことがない人間のうちの一人だった。咲いていても、意識してこなかったタイプの「見たことがない」である。

実際は、親曰く、子供の頃から家の近所に咲いていたようなので、「見たことがない」はずがない。

ところが、その匂いも、見た目も、はっきりとは認識してこなかった。てっきりトイレの芳香剤か何かの匂いだと思っていた。

大人になり、「これが金木犀だよ」と、匂いと名前の結びつきを教わって、初めて「金木犀」を知った。

金木犀という名前は、それまでずっと、歌に出てくる花だった。

金木犀の出てくる曲と言えば、古くは二人のアカボシの『キンモクセイ』』、それから、きのこ帝国の『金木犀の夜』もよい歌だ。

匂いを教わってから、どこに咲いているのか、どこから漂ってきているのか、探してまわった。

匂いがわかってからも、案外姿が見つからないのが金木犀であり、ようやく金木犀の小さな星のようなオレンジ色の花(そしてその花を僕は見たことがあった)を見つけたときには、なんだか宝を探し当てたように嬉しかった。

ちなみに、金木犀の花言葉には、「謙遜」「気高い人」「真実」の他に、「誘惑」「陶酔」などもある。

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桜のきれいな町に住んでいるピエロです。