メンブレとは、意味や対処法、メンヘラとの違い
SNSを中心に若者のあいだで使われる「メンブレ」という言葉がある。
メンブレとは、精神的に辛い状況やトラブルなどが原因で落ち込み、メンタルが崩壊しそうな状態を意味する若者言葉の一つで、「メンタルブレイク」の略語に由来する。
英語で表記すると、mental breakとなる(breakは「壊れる、砕ける」などを意味する)。
ただし、「メンブレ」を表すような意味合いのmental breakという英語表現はないようで、代わりに、mental breakdown、という言葉がある。
mental breakdownとは、「神経衰弱、ノイローゼ、重度のストレス、ショック、悲しみ、不安、失望、自信喪失、不眠症などによって引き起こされる精神疾患」を意味する。
しかし、メンブレはそれほど病的な状況というわけでもなく、「落ち込んでいる」「凹んでいる」「メンタルが弱っている」というときなど割と頻繁に使われる。
メンブレの用例として、「テストの結果でメンブレしている」「バイト先がしんどくてメンブレした」「生理前でメンブレ」「彼氏と別れてメンブレ」などが挙げられる。
大学生に、「メンブレ」という言葉を日常的に使っているか尋ねた調査(2021年9月)では、「使っている」と答えた大学生が「13.3%」とある。
Q:「メンブレ」という言葉を、日常的に使っていますか?
●はい 54人(13.3%)
●いいえ 351人(86.7%)
SNSでは流行っているとされる 「メンブレ」を日常的に使っている人の割合は13.3%。
メンブレは、必ずしも浸透した若者言葉ではないものの、日常的に使っている人も、決して少なくはないようだ。
それでは、一体いつからメンブレという言葉が使われるようになったのだろうか。
メンタルブレイクやメンブレという言葉をツイッターで遡ってみると、歴史は結構古いようで、2009年、2010年頃の段階で、すでに使っている人もちらほらと見られる。
夜になるとメンタルブレイクする
— ジョン・オカ (@John_OKA) October 6, 2009
高校の頃のプリクラ出てきて恥ずか死。そして「このころリア充だ・・」とショック死。さらに今の自分を思い、不憫に、そしてダメな感じに育ったんだなぁとメンタルブレイク死。
— 人生廃業(鼻パピコ) (@jinseihaigyou) September 15, 2010
メンタル ブレイク。略してメンブレ。
今の子はすごく病むことをこう言うそうです。ってことでメンブレなう
— Hitoshi_Sugiyama (@Gajila) August 15, 2010
思っていたよりも相当以前から、メンタルブレイクやメンブレといった言葉は使われているようだ。
ただし、その言葉がどれだけ検索されていたかグラフで見ることのできる「グーグルトレンド」で調べると、割と最近である「2018年」頃から上昇傾向が見られる。
画像 : グーグルトレンド「メンブレ」
画像 : グーグルトレンド「メンタルブレイク」
パソコンのキーボードの型に「メンブレン」という用語があり、その検索も混ざっている可能性を考慮すると、起源がどれほど古いかはっきりとは見えづらいものの、「メンタルブレイク」のトレンドと比較しても、2009年、2010年頃から使われるようになったと推測される。
こうした歴史もあってか、メンブレという言葉は「古い」「死後」という意見もあるが、トレンドとしては、むしろ徐々に増えてきている印象を受ける。
ちなみに、最近のピークは「メンブレ」も「メンタルブレイク」も、2020年6月となっている。
2020年6月は、相当多くのひとが精神的に参っていたようだ。
メンブレの類義語として、もう少し一般的に使われるメンタルの状態を指す言葉にメンヘラもある。

メンブレとメンヘラの違いとしては、メンヘラのほうが、心の状態として長く継続的で、自傷行為を行ったり、依存性の強い性質を特徴としている。
一方、メンブレは、一時的な落ち込みや悲しみを指し、「今まさに」メンブレ状態であることを意味する。
ところで、メンブレになった際、どういった対処法が考えられるだろうか。
臨床心理士のデイビット・D・バーンズ氏は、自身が落ち込んでいるときに行う対処法として、以下の9点を挙げている(参考 : 気分が落ち込んだときに、セラピストがしている9つのこと)。
1、30秒ルールを使う
2、深呼吸
3、気分が悪いままにする
4、立ち止まって、自分のために一つよいことを言う
5、次に何をすべきか自分に尋ねることーそしてすること
6、ハイキングやヨガ、散歩など運動をすること
7、落ち込んだ時に役立つ「言葉」を見つける
8、とことん踊る
9、子犬など、もふもふした動物と遊ぶ
最初の「30秒ルール」とは、目の前にすべきことが山積みになっていたら、30秒でできる一つを選んで集中すること。
気分が悪いままにする、というのは、無理やり感情を抑圧するのではなく、自分自身に「どうだい?」と問いかけ、感情をそのままに受け入れることを指す。
心が弱っているときには、深呼吸を含め、上手に体を使ってあげること、身体を調節することでも精神状態を整えることができる。
あまり頭で追いかけすぎると、余計に悪循環にはまり込むので、深呼吸をしたり、今すべきことを一つに絞って集中したり、いったん間を置き、気分転換のリフレッシュとして体を動かすことも心がける。
「新鮮な空気を吸って、毎日に動きに取り入れることにしています」とダーレン・デボス氏は語った。
「ときには、ヨガやフィットネスのクラスを意味することもありますが、ちょっとした朝の子犬との散歩や午後のフリータイムに近所の散策をしていることが多いです」
彼女の秘策とは? これを携帯電話を持たずに出かけることだ。
こうした手法は、まさに今メンブレというときにも活用できるし、日頃の生活習慣に盛り込むことで、日々のストレスの対処法にもなる。
