ジブリ汗まみれ

宮崎駿監督の今とコロナ、ジブリの旧作映画の映画館上映の話

宮崎駿監督の今とコロナ、ジブリの旧作映画の映画館上映の話

前回、ジブリの鈴木敏夫さんがパーソナリティの『ジブリ汗まみれ』でコロナによる自粛の影響について語った放送回の感想を書いた。

鈴木敏夫『ジブリ汗まみれ』とコロナ鈴木敏夫『ジブリ汗まみれ』とコロナ ウイルスとの共生 コロナウイルスによって人々が生産活動を止めたことで、自然環境が改善しているとい...

この回では、残念ながら宮崎駿監督が今どうしているか、コロナやこの現状に関し、どういった感想を持っているか、といった話はなかった。

ただ、前回の続きとして、今週(4月26日)の放送では、番組の最後のほうで宮崎監督の現在について少しだけ触れられた。

鈴木敏夫さんが、ある映画関係者から、経営が苦しい映画館で、コロナの自粛がいったん小休止したときに、ジブリの旧作映画を上映したい、という相談を受け、鈴木さんは直感的に賛同した。

ところが、ジブリのスタッフの若い人たちに話すと、「なぜこの時期に」と反対だったと言う。

一方、宮崎駿監督に尋ねると、「鈴木さん、それやったらいいよ」と返答。

この判断に世代間の違いのようなものを鈴木さんは感じたと言う。「俺や宮さんは貧乏を知っているがゆえに、ずっとお世話になってきた映画館に少しでも役に立てるなら、やろうよ、と一致できる」。

でも、若い人たちは違った。この時代に、それをやっちゃうのはどうか、と。

結果として、鈴木さんは「やりましょう」と返事。

まだ時期は未定ではあるものの、少し落ち着いた段階で、映画館(劇場)でジブリの旧作を流す、という方向で動き出すようだ。

また、今の宮崎駿監督は、このコロナの影響によって自粛が広がったことで生まれた余裕をいっそう映画制作に向けていると鈴木さんは言う。

スタジオジブリも、現場以外はテレワークで対応しているが、現場はテレワークができないので、宮崎駿監督を筆頭にメインスタッフは今粛々と映画を作っている。

目の前のことをこつこつとやっていく以外にない、と。

宮崎駿監督は今もずっと最新作となる『君たちはどう生きるか』の制作に取り組んでいる。

このコロナのあとの世界に公開する作品として、「君たちはどう生きるか」というタイトルの作品を選んだことに、「宮崎駿はやっぱり天才なんだと思う」と鈴木さんは言う。

これで映画をつくりたい、と宮崎駿監督が言ったのはもう4年近く前のことだった。

宮崎監督が、今の状況をどう考えているかはわからなかったものの、現在も粛々と制作に勤しんでいるとのこと(体調も心配なさそうで安心した)。

ちなみに、宮崎監督の近況以外で面白かったのは、このコロナ以降の映画の中身はどうなるのか、というもの。

これまで「大衆消費社会」を推し進めてきた近代社会。宮崎駿監督も、大衆消費社会というものをずっと批判してきた。

大衆消費社会とは所得の上昇やマスメディアの発達などにより、消費者の物的な購買範囲が拡大し、大衆による大量消費が行われるようになった社会。多くの場合は企業による大衆向けの広告によって誘導されている。

1920年代のアメリカ合衆国はフォーディズムがあらゆる製品の生産過程に用いられたことで世界初の大衆消費社会となった。

出典 : 大衆消費社会|Wikipedia

しかし、図らずも、コロナによる準強制的な鎖国や自粛によって、この大衆消費社会と距離を取らざるを得なくなった。

これまで「買うこと」がもっとも重要なことに位置付けられ、「何を買うか」が個性となり、様々なブランドを追いかけてきた社会と、こうしてふと距離を置いたことで「あれ、こんなに必要だったっけ」と冷静さを取り戻したひとも多いかもしれない。

ゲスト出演している博報堂の藤巻直哉さんも、まさに広告代理店という大衆消費社会を牽引した会社のひとであり、自分自身ファッションにお金を出すひとだった。

ところが、今は全然買い物をせず、外食もしなくなったからカードの請求額も落ちたと言う。

加えて、ちょうどいい機会だからと断食も始めたそうだ。

映画の主人公も、藤巻さんのような、こういうひとになってくるのではないか、と鈴木さんは語る。

ものを買う、大量消費社会で生きてきたわけでしょ。そして、そういうものと、好むと好まざるとに関わらず、距離を置かなければいけなくなった。そのことによって得られる、ある種の開放感。

ああ、もう物は買わなくていいんだ、という。それによって自分のなかで色々なものがうごめき始めている。そういうLINEをくれたひとがいた。(鈴木敏夫)

出典 :『ジブリ汗まみれ』2020.4.26

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