ひきこもりや不登校の中学生におすすめの映画『十五才 学校Ⅳ』
不登校で半ひきこもりのような日々を過ごしていた中学時代のこと。
当時はスマホもなく、僕が、毎日朝からずっと寝ているか、適当にバラエティ番組を観ていたら、ある日、母親が数本の映画を借りてきた。
そのとき、母が選んだ映画(今考えると、不登校の息子に見せる作品なので色々と気遣ったラインナップだったのかもしれない)のうち、とても印象に残っている作品。
それが、山田洋次監督の『十五才 学校Ⅳ』だった。

主人公の川島大介は、横浜に住む不登校の中学生で、学校に行く前になると腹痛がし、昼頃には落ち着く、といったことが続いていた。
医者やカウンセラーに診てもらっても原因は分からなかった。
あるとき、大介は、両親に内緒で家出をし、屋久島に向かって一人旅に出る。
目的地は、屋久島だった。
あらすじ
横浜郊外に住む不登校の中学3年生・川島大介は、ある日、無謀にも両親に内緒で九州・屋久島の縄文杉を目指し、ひとりでヒッチハイクの旅に出た。
大型トラックの厳つい運転手・佐々木や女性ドライバーの大庭、そして彼女の引きこもりの息子・登らとの交流を経て、屋久島に辿り着いた彼は、島で出会った登山客・真知子と共に、険しい山道に挑み、遂に縄文杉を見ることが叶う。
その後、真知子と別れてひとり山を降りた大介は、侘びしい一人暮らしをしている老人・鉄男と知り合い、彼の家に一夜の宿を提供してもらう。
この作品は、学校に行けない中学生、高校生くらいの学生におすすめの映画として挙げたい一作。
もちろん、不登校やひきこもりと一口に言っても、年齢や原因、性格や環境によって心に寄り添ってくれる作品は違う。
暗い、どんよりした重い映画や、色々なことを忘れさせてくれるような思いっきり笑える映画を心が求めている場合もある。
この映画は、決して激しさはないかもしれないが、中学生や高校生で不登校だったり、生きるのが苦しいといった子たちの心に、優しく染み渡るような作品だと思う。
今でも予告編を観ると、当時の感情が蘇ってくるのか、胸が締めつけられる。
公開は二〇〇〇年とずいぶん前の作品なので、一見すると古いように見えるが、主題歌や挿入歌はデビューして間もない若い頃のゆずが担当している。
“通い慣れてたこの道が、やけに懐かしく想えます。”
素朴なメロディと歌詞で優しく沁みる曲で、映画とも絶妙に合っている。古き良き、良質な日本映画。
作品情報
監督 | 山田洋次 |
脚本 | 山田洋次、朝間義隆、平松恵美子 |
メインキャスト | 川島大介(金井勇太)、大介の父(小林稔侍)、大介の母(秋野暢子) |
公開 | 二〇〇〇年 上映時間 : 二時間 |
製作国 | 日本 |
『十五才 学校Ⅳ』予告編

