自発とは
自発
SNSのツイッターで、ときどき「自発ください」や「自発ありがとうございます」といったツイートを見かけることがある。
この「自発ください」というツイートは、大体、自撮り写真などと一緒に挙げられる(ツイッターなどで自撮りを挙げ、繋がりを求める人たちのコミュニティは、「自撮り界隈」と呼ばれる)。
初めて見る場合、「自発」とあっても、意味が分からない、というひとも多いかもしれない。
自発とは、主に若者のあいだで使われるネット用語、SNS用語で、「自分から発信する」の略である。
この「発信」とは、いいねやフォローのことで、「自発ください」とは、自分から発信(いいねやフォロー)してください、という意味となる。「自発ください」は、ハッシュタグで使われることも多い。
要は、フォローやいいねをそっちからしてくれるのを待っています(してくれたら嬉しいです)、という意味になる。
この「自発ください」というハッシュタグは、先ほども言ったように、自撮り写真についていることが多く、いいねやリツイートなど反応を気軽にしてほしい、という想いが込められている。
また、「自発くださいフォロバします」とあれば、そっちからフォローしてくれればフォローを返します、という意味合いとなる。
こうしたタグは、ツイッターだけでなく、インスタグラムなど、SNS全般でよく見かける。
ちなみに、ツイッター用語ではなく、普通一般的に使われる「自発」の意味も、「外からの働きかけを受けてするのではなく、自然に行われること。また、自分から進んですること」とある。
使い方は違えど、一般的な「自発」も、SNS用語の「自発」も、基本的には同じ意味となる。
らぶりつ
この「自発」以外に、もう一つ、ツイッターに限って使われる類語に、「らぶりつ」がある。
らぶりつとは、自発と同様、自撮り写真によく添えられる言葉で、「らぶ(いいね)とリツイート」をください、という意味になる。
らぶりつの「らぶ」が「いいね」を指すのは、ツイッターのいいねがハートマークであることに由来する。
以前は、ツイッターの仕様で「いいね」は「お気に入り(ファボ)」だったので、「ふぁぼりつ」と呼ばれていたものの、仕様変更でハートに変わったことから「らぶりつ」と呼ばれるようになった。
ハッシュタグで、「らぶりつ下さい」といった使い方がされる。
自発も、らぶりつも、ツイッター内で一般的に使用されるというよりは、ある特定の界隈(自撮り界隈など)で使用されることが多い言葉である。
両者に共通しているのは、根底に承認欲求の心理があること、また基本的に受け身ということが言える。
承認欲求とは、「他人から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という欲求のことで、自撮りなどを挙げ、いいねやリツイートをされることで、自分が存在する価値がある、と実感できる。
もう一つ、受け身である、ということが言える。
自発ください、とは、自分からいいねやフォローをください、ということ。らぶりつも、基本的には同じ意味で、「いいねとリツイート」をください、となる。
これは、承認欲求に加え、心理的な傷つきやすさの表れでもある。
自分からアクションをする、たとえばフォローをして、相手からフォロー返し、いわゆるフォロバがなかったら、ものすごく傷つく。
だから、最初から、自分と仲良くしたいという想いがある人だけに届くように、「自発くださいフォロバします」や「らぶりつで気になった人お迎え」といったタグを添える。
こうすると、ある程度お互いの気持ちが見えた状態で、交流が始まるので、傷つく機会も格段に減る。
自発やらぶりつという言葉には、こういう若者の傷つきやすく繊細な心理もあると言える。
