「うさぎって寂しいと死んじゃうんだから」
つぶらな瞳に、特徴的な耳、ふわふわの毛。可愛く、ペットとしても人気のうさぎ。
うさぎは寂しいと死ぬ動物だと、子供の頃に聞いた覚えがある。だから、ペットとしてうさぎを飼うなら、番いで飼わないといけなんだよ、と親だったか誰かが言っていた。
子供の頃の影響もあってか、うさぎの雰囲気も相まってか、この「うさぎは寂しいと死ぬ」ということに関し、特に疑問も持たずに長らく信じていた。
でも、考えてみれば、なぜ動物が寂しいからと言って死ぬのか、理由がよく分からない。それほど繊細なら、うさぎは野生でどうやって生きていくのだろうか。
たとえば、『故郷』のなかで「うさぎ追いし かの山」と歌われるように、(今はすっかり減少してしまったものの)日本にも野生のうさぎである野うさぎはいる。
彼らが、寂しさで死ぬ、ということはちょっと考えられない。
変だなと思って調べてみると、このうさぎが寂しさで死ぬという噂は嘘のようだ。
結論から言ってしまうと、うさぎは寂しいと死ぬという噂についてはウソになります。
うさぎが寂しいと感じると死んでしまうという科学的根拠はないそうですし、獣医さんに聞いてもおそらくそんなことはないと答えるでしょう。
冒頭文にも書きましたが、そもそも野生で生きている動物なのにもかかわらず、寂しいと感じたら死ぬというのはあまりにも脆弱であり、野生で生き抜くなんて出来ないですよね。
そのため、変にペットのうさぎに気遣いをして一人ぼっちにしないようにしたり、多頭飼いをする必要はありません。
また、これからうさぎを飼おうと考えていた一人暮らしの方も、日中は家にいなくてうさぎを一人ぼっちにしてしまうという理由で飼うのを諦める必要もありません。
結局、「うさぎは寂しいと死ぬ」という話に科学的な根拠はなく、実際にそういったこともなさそうだ。
そのため、うさぎを寂しくしてはいけないからと、わざわざ多頭飼いにしたり、一人暮らしで日中に家にいないからと諦める必要もないと言う。
それなら、一体なぜ、うさぎは寂しいと死ぬ、というちょっと不思議な噂が広まったのだろう。元ネタとなった都市伝説か何かがあるのだろうか。
突然死の問題
理由の一つとして、「うさぎは飼い主が留守にしているあいだに突然死をすることが多い」ことが挙げられるようだ。
うさぎは、厳しい自然界で生き残るために、自分の体調が悪いのを悟られないようにする習性があり、飼い主に対しても平然を装う。
だから、さっきまで元気だったのに突然死してしまったように見えるのだと言う。
それはそれで悲しい話でもある。
飼っていたうさぎが、ずっと元気だったのに、留守にしているあいだに突然死している、ということが、この「うさぎは寂しいと死ぬ」という話に繋がっていったのかもしれない。
ドラマやヒットソングの影響
加えて、1993年に放送された江口洋介主演のドラマ『ひとつ屋根の下』で、酒井法子演じる小雪が言った、「うさぎって寂しいと死んじゃうんだから」という台詞があり、この台詞が元ネタとなって、一気に広まるきっかけとなったようだ。
また、酒井法子さんのヒット曲で95年発売の『碧いうさぎ』にも、歌詞のなかに、「碧いうさぎ ずっと待ってる 独りきりで震えながら 淋しすぎて 死んでしまうわ 早く暖めて欲しい」と出てくることが影響していると考えられる。
うさぎが寂しがり屋かどうか、というのは判断が分かれる。「寂しいというより、縄張り意識が強く、愛情を独り占めしていることで安心する」という話もある。
寂しさで死ぬことはないにしても、この『「ウサギが寂しがり屋」というのは本当なのか|マイナビニュース』を読む限り、とても繊細な動物ではあり、ストレスで弱ってしまうことはあるようだ。