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メンヘラという言葉はいつからあるか

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メンヘラという言葉はいつからあるか

メンヘラという言葉は、一体いつから言われるようになったのだろうか。

少なくとも僕が学生時代、不登校に悩んだり毎日のように泣いていた頃(きっと今で言う「メンヘラ」にも当てはまるだろう頃)に「メンヘラ」という表現はなかった。

当時、徐々にうつで悩む人々が増え始め、心身症や自律神経失調症といった言葉もある程度浸透していたが、メンヘラという言葉はなく、誰かに対し「メンヘラ」と悪口のように言ったり、「自分、メンヘラだから」と自嘲気味に笑うような光景も見たことはなかった。

そもそもメンヘラは病名ではなく、はっきりとした定義もない(だから、“メンヘラの◯個の特徴”といった記事もたくさんある)。

幼少期のトラウマで深い見捨てられ不安を抱えていたり、ホルモンバランスの乱れや心労がたたって精神的に不安定になることも含め、一緒くたにメンヘラと呼ばれることも多いように思う。

そして、この言葉が流行ってから、よくも悪くも「軽く」なったような気がする。

人それぞれの原因や背景はすっ飛ばし、ひとくくりに「メンヘラ」と呼ぶ。

ただ、一方で、受け手としては「メンヘラ」と言語化することで安心できる側面もあるのかもしれない。

恋人や親友が何度も突然泣き出したり激しく怒ってくるといった不条理な事態に遭遇した際、受ける側が、その都度真摯に対応すればするほど次第に自分自身も病んでくる。

そのとき、「メンヘラ」だから仕方がない、とカテゴライズすることで安心を得る。

病名のつくような精神疾患の増加は、すなわち精神疾患や病名がつかないまでも闇を抱えるひとと接するひとたちの増加でもあるので、「メンヘラ」という言葉が普及、浸透していったのも、自然な流れなのかもしれない。

それでは、メンヘラという言葉は一体いつ頃から使われるようになったのか。

その由来や起源を調べてみると、どうやら歴史は二〇〇〇年〜二〇一〇年頃に遡るようだ。

そもそもはネットの匿名掲示板2ちゃんねるを中心に広まった造語で、最初はメンタルヘルス版の略語の「メンヘル(二〇〇〇年)」。

精神疾患を抱える当事者たちが、自分たち自身を呼び合う際に「メンヘル」という言葉を使用し、そこから語尾が変わって「メンヘラー」から「メンヘラ」になる。

精神疾患の当事者が意見交換するオンラインの場で、新しい俗語が生まれました。それが「メンヘル」です。

この「メンヘル」という俗語は、2ちゃんねるのメンタルヘルス板という場所で、当事者同士が意見交換するなかで用いられはじめたものでした。メンタルヘルスを略してメンヘル、というわけです。

メンヘルと、その派生語のメンヘラは、メンタルヘルスの問題に悩む当事者たちが、自分たち自身を呼び合うための言葉として生まれた点が、それまでの差別用語とは決定的に異なっています。

つまり、この俗語は当事者性をもって用いられ始めたもので、誰かのことを否定したり差別したりするために生まれてきたものではなかった、ということです。

出典 :「メンヘラ」という言葉はどう変化してきたか。精神科医が解説

検索キーワードのグラフを見ると、「メンヘル」も「メンヘラ」も、二〇〇〇年代にはすでに細々と使われていることが分かる。

メンヘラ いつから

この二〇〇〇年代の2ちゃんねる内で「メンヘル」「メンヘラー」「メンヘラ」が使われるようになった詳細な経緯については、メンヘラ.jpで詳しく解説されている。

以下は、ざっくりとした年表になる。

年表

一九九九年 十一月、2ちゃんねる内に「メンタルヘルス版」の前身「躁鬱版」が開設。

二〇〇〇年 八月、「メンタルヘルス版」という名称が誕生。まもなく「メンヘル」という省略語が使われるようになる。

二〇〇一年 この辺りまでで名称の略語というだけでなく、「心の健康に問題のあるひと」という意味も持つようになる。十一月以降、「メンヘラー」という言葉が登場する。

二〇〇二年 一月二十九日、「メンヘラ」という言葉が初めて登場する。

二〇〇五年 メンタルヘルス版だけでなく、2ちゃんねる内の別の掲示板やまとめサイトなどでも使われるようになる。

その後、徐々に「メンヘル」が下火になる一方で、二〇一〇年辺りから、ぐんと「メンヘラ」が普及していく。

メンヘラという言葉が生き残った理由としては、語感が大きいように個人的には思う。

別の言葉で「ヤンデレ」という言葉もあるが、「デレデレ」や「ヘラヘラ」など、すでに感情を示す日本語があり、連想しやすく馴染んだのではないかと思う。

普及の度合いについては、TwitterなどSNSの浸透も関連しているのだろう。

こうして今ではネットだけでなく若者たちのあいだで普段の会話でも使われるほど一般化している。

意味も次第に変化し、当初は単なるメンタルヘルス版のことだったのが、よく書き込むひとたちを指すようになり、昨今ではよく死をほのめかす「かまってちゃん」など承認欲求の高いひとを意味するようになっている。

また、サブカルチャーとも結びつき、メンヘラと漫画、メンヘラと音楽、といった「文化」のなかの一つの要素にもなりつつある。

ただ、個人的には古い作家や画家の伝記を読んでも、今で言う「メンヘラ」だなと思う人物も多いので、もともと欠落感と承認欲求、そして表現欲求は分かち難く結びついているのだと思う。

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