映画

『ミッドナイトインパリ』の偉人たち

『ミッドナイトインパリ』の偉人たち

ウディ・アレンの映画『ミッドナイトインパリ』では、主人公の作家ギルが過去にタイムスリップ。実在した懐かしの画家や作家、映画監督などの偉人たちが実名で数多く登場するのも作品の魅力になっている。

以下は、『ミッドナイトインパリ』で登場した主な偉人の一覧。

一九二〇年代

一九二〇年代のパリは数多くの芸術家たちが集まるギルが憧れた時代。ギルが現代のパリの夜道を歩いていると、日付の変わる鐘が鳴り、古い車が走ってきて誘われるがままに乗り込んだらタイムスリップする。

その世界には、現代に名が残っているたくさんの偉人たちがギルに親しげに話しかけてくる。

 

スコット・フィッツジェラルド[一八九六年 – 一九四〇年] アメリカの小説家。生前に発表した長編小説は四作品に過ぎないものの、アメリカを代表する作家として知られている。一九二〇年代にパリを訪れ、ヘミングウェイと交流を持つ。代表作は『グレート・ギャツビー』。村上春樹も影響を受け、作品の翻訳をしている。『ミッドナイトインパリ』では、パーティー会場で会い、ギルをヘミングウェイのもとに連れていく。

 

ゼルダ・フィッツジェラルド[一九〇〇年 – 一九四八年] スコット・フィッツジェラルドの妻。旧姓はゼルダ・セイヤー。小説家。美しく、もともと奔放な性格でもあり、スコットとの結婚生活はまもなく破綻する。ゼルダ自身精神と体を蝕まれ入院。入院先の病院の火事で焼死。『ミッドナイトインパリ』では、情緒不安定だったり自殺未遂をしようとするシーンもあり、フィッツジェラルドの友人であるヘミングウェイは彼女との交際に反対している。

 

コール・ポーター[一八九一年 – 一九六四年]  アメリカの作詞家、作曲家。本名はコール・アルバート・ポーター。ミュージカルや映画音楽の分野で活躍。一九二〇年頃パリに在住。作中、ギルが迷い込んだ一九二〇年代のパーティーで自作の曲『Let’s Do It (Let’s Fall in Love)』を演奏している。その曲のレコードが、ギルと骨董品屋の女性が知り合うきっかけにもなる。

 

ジャン・コクトー[一八八九年 – 一九六三年]  フランスの詩人、芸術家。その他、画家や脚本家、映画監督など多才な才能を発揮。パリ出身。ピカソやココ・シャネルなど、様々な芸術家たちと交流を持っている。『ミッドナイトインパリ』ではパーティーのホストとして名前が出てくる。

 

●アーネスト・ヘミングウェイ[一八九九年 – 一九六一年]  アメリカの小説家、詩人。簡素な文体の短編小説でアメリカを代表する作家の一人として数えられる。ノーベル文学賞受賞。釣りや狩り、ボクシングや闘牛などを好むライフスタイルはアメリカ人に多くの影響を与える。フィッツジェラルドとはパリで会って以来、親交を深める。ヘミングウェイは、フィッツジェラルドの執筆を妨げるものとして彼がゼルダと付き合うことに反対だった。『ミッドナイトインパリ』では重要な役割を果たす。

 

●ガートルード・スタイン[一八七四年 – 一九四六年]  アメリカの詩人、美術収集家。パリに数多くの画家や詩人たちが集まるサロンを開いていたことで知られる。『ミッドナイトインパリ』では、ギルの執筆中の作品を読み、アドバイスを送る。

 

●パブロ・ピカソ[一八八一年 – 一九七三年] スペインの画家。出身はスペインのマラガだが、拠点はフランス。ジョルジュ・ブラックとともにキュビズムの創始者として知られる。代表作は『アビニヨンの妻たち』や『ゲルニカ』など。恋多き画家としても有名。映画では、愛人の一人としてアドリアナ(フィクション上の人物)が登場する。

 

●ジョセフィン・ベーカー[一九〇六年 – 一九七五年]  アメリカの女性歌手。「黒いヴィーナス」の異名を持ち、劇場でスターとなる。ヘミングウェイは、「これまで見たことのある最もセンセイショナルな女性」と賞賛している。『ミッドナイトインパリ』では一九二〇年代のパーティーでダンスを披露。

 

不安 ベルモンテ

●フアン・ベルモンテ[一八九二年 – 一九六二年] スペインの実在する闘牛士。映画のなかではヘミングウェイと一緒にパーティーに参加している。

 

ダリ

●サルバドール・ダリ スペインの画家。承認欲求が強く、自らを「天才」と称し、奇行や逸話でも知られるシュルレアリストの画家。ダリが好んだモチーフに「サイの角」があり、映画のなかでもサイの形状について何度も語る。

 

ルイス ブニュエル

●ルイス・ブニュエル アメリカ出身でメキシコに帰化した映画監督、俳優。シュルレアリスムとエロティシズムの作品で有名。『ミッドナイトインパリ』では、終盤、ギルがパーティーでブニュエルに「映画のいいアイディアがあります、晩餐会の客が帰ろうとするが帰れない」と言うと、ブニュエルが「なぜだ」と問う。これは実際にブニュエルが一九六二年に発表している『皆殺しの天使』という映画に由来するジョーク。不条理な作風のシュルレアリストが、このシーンでは、「なぜ帰れないんだ」と若干引き気味なのが面白い。

 

マン・レイ

●マン・レイ アメリカの写真家。『ミッドナイトインパリ』では、ダリが飲んでいたカフェバーにブニュエルと一緒に訪れ、ギルの「未来から訪れた」という話に、「君は二つの世界の住人、なんら不思議ではない」と語る。

 

バーンズ

●ジューナ・バーンズ アメリカの著作家。一九二〇年、三〇年代のパリでボヘミアン的な生活を送る。映画では、遊園地のような装いのパーティーで、ギルがバーンズと知らずに一緒に踊り、アドリアナに言われ気づく。

 

アンリ マティス

●アンリ・マティス フランスの画家。フォビズムのリーダー的存在。色彩豊かな作風で自然をこよなく愛する二十世紀を代表する画家の一人。

 

一八九〇年代(ベルエポック時代)

ベルエポック時代とは、一八九〇年代から第一次世界大戦前の辺りで、パリが華やかに繁栄した時代を指す。

一九二〇年代に生きるアドリアナ(ピカソの愛人で、ギルが恋する女性)が憧れたのも、このベルエポックの時代だった。

 

ロートリック

●アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック[一八六四年 – 一九〇一年] フランスの画家。十代半ばのときに右足と左足をそれぞれ骨折し、以来、脚の発育が停止。成人時の身長は一五二センチしかなかった。障害者としての差別も影響したのか娼婦や踊り子といった夜の世界の女に共感し、ムーランルージュなど華やかなポスターの絵も描く。アルコール依存や性生活の奔放さで梅毒にかかるなど、心身ともに衰弱。若くして亡くなる。

 

エドガー ドガ

●エドガー・ドガ[一八三四 – 一九一七年] フランスの印象派の画家。ただ、印象派と言ってもモネのような光を写し取った画風と違い、むしろ「現代生活の古典画家」と位置づけられた。娼婦や踊り子などをよく描いた。

 

ゴーギャン

●ポール・ゴーギャン[一八四八年 – 一九〇三年] フランスのポスト印象派の画家。仕事の余暇の日曜画家として絵を始める。ゴッホとの共同生活やタヒチ滞在が有名。

画像 : Wikipedia

0
ABOUT ME
uta
uta
桜のきれいな町に住んでいるピエロです。