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『ミッドナイトインパリ』のあらすじと偉人一覧

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『ミッドナイトインパリ』のあらすじと偉人一覧

*この記事は映画のネタバレを含む。

映画『ミッドナイトインパリ』とは

ウディ・アレン監督作品で二〇一一年(日本では二〇一二年)に公開された『ミッドナイトインパリ』。

タイトルの「ミッドナイトインパリ」は、文字通り、「真夜中のパリ」を意味する。芸術の街パリを舞台に、監督の趣味嗜好もふんだんに盛り込まれた、おしゃれな作品となっている。

アメリカでの評価も高く、批評家などレビューも高評価で、日本でも、口コミやレビューの点数は相当高く、ウディ・アレンは監督と脚本の両方を務め、この作品でアカデミー賞の脚本賞を受賞している。

『ミッドナイトインパリ』予告編

現代に住むアメリカ人脚本家の主人公ギルが、婚約者とその家族とともに訪れた旅先のパリで、過去に「タイムスリップ」し、ピカソやマン・レイ、ヘミングウェイやフィッツジェラルドなど、数多くの昔の画家や作家など偉人たちと出会い、彼らの言葉をもとに考えを深めていく。

偉人たちの実際のエピソードに基づいたシーンも描かれ、知っているといっそう面白いと思う。

てっきりポスターに『星月夜』が描かれていたので、ゴッホも出てくるかと思ったものの、同時代にタイムスリップした際に出てくるのは、画家のロートレック、ドガ、ゴーギャンで、ゴッホは登場しない。

この映画に描かれる、「黄金時代(人は常に過去の黄金時代に憧れる、というのが映画のテーマ)」のパリの世界観と、孤独と狂気の画家ゴッホというのは、ちょっと合わなかったのかもしれない。

ちなみに、主人公のギルは、若い頃のウディ・アレンに似ているようで、演技もわざと似せたような仕草や喋り方をしているようだ。

作品情報

監督 ウディ・アレン
脚本 ウディ・アレン
メインキャスト ギル・ペンダー(オーウェン・ウィルソン)、イネス(レイチェル・マクアダムス)
公開 スペイン、アメリカ(二〇一一年)、日本(二〇一二年)
製作国 アメリカ

あらすじ

●ギル・ベンダー
ハリウッドの脚本家だが、小説家を目指して作品を執筆中。一九二〇年代のパリや、当時の芸術家たちに憧れる。パリの雨が好き。
●イネス
ギルの婚約者。金持ちの両親がいる。脚本家をやめ、小説家を目指すというギルに不満を抱いている。

主人公のギル・ベンダーは、ハリウッドの脚本家で、そのまま脚本を続けていれば生活に困ることはなかったものの、小説を書きたい、と処女作執筆に苦闘する。

執筆中の小説は、懐かしいものを販売する〈ノスタルジーショップ〉で働く店員の物語だった。

ギルは、その執筆の最中、婚約者のイネスと、イネスの両親と四人でパリを訪れる。

花の都パリは、ギルにとって憧れの世界だったが、偶然居合わせたイネスの友人でインテリのポールと、ポールの彼女も交え、一緒にパリを観光し、教養をひけらかすポールの態度にギルは嫌気が差す。

ある夜、ワインパーティーの帰り、ダンスの誘いを断って夜道を一人で帰るギルは、道に迷い、日付が変わる鐘とともに迎えにきた車に乗る。

すると、彼が憧れた一九二〇年代のパリにタイムスリップする。

一九二〇年代の世界で、ギルは、作家のスコット・フィッツジェラルドと妻ゼルダ、それからヘミングウェイ、画家のピカソ、詩人で美術収集家でもあるガートルート・スタイン、また、ダリ、ブニュエル、マン・レイといったシュルレアリストの芸術家たちと出会う。

ピカソの愛人であるアドリアナに恋をしたギルは、現代の古本屋でアドリアナの手記を見つける。

手記のなかには、アドリアナもまた自分に恋をし、彼女がギルからピアスを贈られ、二人は愛し合った、という記述を発見する。

『ミッドナイトインパリ』のピカソの愛人アドリアナ『ミッドナイトインパリ』のピカソの愛人アドリアナ ウディ・アレンの映画『ミッドナイトインパリ』には、重要な役柄として、ピカソの愛人で恋...

ギルはすぐにピアスを探し、再びタイムスリップした際、アドリアナにプレゼントする。

二人がキスをすると、馬車が現れ、馬車に乗った二人は、今度はパリが華やかだったベルエポック時代の一八九〇年代にタイムスリップする。

アドリアナは、このベルエポック時代に憧れていた。しかし、その時代に出会った画家のロートレックやゴーギャン、ドガたちもまたルネサンス期に憧れていると語り、こうして人は誰でも過去に憧れるのだと、ギルは気づく。

アドリアナは、ベルエポック時代に残ると言い、ギルは一度一九二〇年代に戻る。

ギルの執筆中の小説を読んだヘミングウェイに、「主人公の婚約者(イネズがモデル)が、教養ぶった男との浮気を気づけないのはおかしい」と指摘され、現代に戻った直後、イネズに浮気しているはずだ(「ヘミングウェイの言う通りだ」)と詰め寄る。

イネズは浮気を告白。もともと性格や趣味が合わないことも多かったことから、ギルはパリに残ると言い、彼女に別れを告げる。

ギルが宿泊先を出て、夜景の美しいパリを散歩していると、以前骨董品屋で知り合った女性と偶然再会する。

雨が降り出し、彼女は、「パリは雨が一番ステキなの」と言い、それはギルが以前から思っていたことと重なる。そして、二人で雨の降る夜の街を歩いていく。

登場する偉人たち

ウディ・アレンの映画『ミッドナイトインパリ』では、主人公の作家ギルが過去にタイムスリップ。実在した懐かしの画家や作家、映画監督などの偉人たちが実名で数多く登場するのも作品の魅力になっている。

以下は、『ミッドナイトインパリ』で登場した主な偉人の一覧である。

一九二〇年代

一九二〇年代のパリは、数多くの芸術家たちが集まるギルが憧れた時代。ギルが現代のパリの夜道を歩いていると、日付の変わる鐘が鳴り、古い車が走ってきて、誘われるがままに乗り込んだらタイムスリップする。

その世界には、現代に名が残っている、たくさんの偉人たちがギルに親しげに話しかけてくる。

 

スコット・フィッツジェラルド[一八九六年 – 一九四〇年] アメリカの小説家。生前に発表した長編小説は四作品に過ぎないものの、アメリカを代表する作家として知られている。一九二〇年代にパリを訪れ、ヘミングウェイと交流を持つ。代表作は『グレート・ギャツビー』。村上春樹も影響を受け、作品の翻訳をしている。『ミッドナイトインパリ』では、パーティー会場で会い、ギルをヘミングウェイのもとに連れていく。

 

ゼルダ・フィッツジェラルド[一九〇〇年 – 一九四八年] スコット・フィッツジェラルドの妻。旧姓はゼルダ・セイヤー。小説家。美しく、もともと奔放な性格でもあり、スコットとの結婚生活はまもなく破綻する。ゼルダ自身精神と体を蝕まれ入院。入院先の病院の火事で焼死。『ミッドナイトインパリ』では、情緒不安定だったり自殺未遂をしようとするシーンもあり、フィッツジェラルドの友人であるヘミングウェイは彼女との交際に反対している。

 

コール・ポーター[一八九一年 – 一九六四年]  アメリカの作詞家、作曲家。本名はコール・アルバート・ポーター。ミュージカルや映画音楽の分野で活躍。一九二〇年頃パリに在住。作中、ギルが迷い込んだ一九二〇年代のパーティーで自作の曲『Let’s Do It (Let’s Fall in Love)』を演奏している。その曲のレコードが、ギルと骨董品屋の女性が知り合うきっかけにもなる。

 

ジャン・コクトー[一八八九年 – 一九六三年]  フランスの詩人、芸術家。その他、画家や脚本家、映画監督など多才な才能を発揮。パリ出身。ピカソやココ・シャネルなど、様々な芸術家たちと交流を持っている。『ミッドナイトインパリ』ではパーティーのホストとして名前が出てくる。

 

アーネスト・ヘミングウェイ[一八九九年 – 一九六一年]  アメリカの小説家、詩人。簡素な文体の短編小説でアメリカを代表する作家の一人として数えられる。ノーベル文学賞受賞。釣りや狩り、ボクシングや闘牛などを好むライフスタイルはアメリカ人に多くの影響を与える。フィッツジェラルドとはパリで会って以来、親交を深める。ヘミングウェイは、フィッツジェラルドの執筆を妨げるものとして彼がゼルダと付き合うことに反対だった。『ミッドナイトインパリ』では重要な役割を果たす。

 

ガートルード・スタイン[一八七四年 – 一九四六年]  アメリカの詩人、美術収集家。パリに数多くの画家や詩人たちが集まるサロンを開いていたことで知られる。『ミッドナイトインパリ』では、ギルの執筆中の作品を読み、アドバイスを送る。

 

パブロ・ピカソ[一八八一年 – 一九七三年] スペインの画家。出身はスペインのマラガだが、拠点はフランス。ジョルジュ・ブラックとともにキュビズムの創始者として知られる。代表作は『アビニヨンの妻たち』や『ゲルニカ』など。恋多き画家としても有名。映画では、愛人の一人としてアドリアナ(フィクション上の人物)が登場する。

 

ジョセフィン・ベーカー[一九〇六年 – 一九七五年]  アメリカの女性歌手。「黒いヴィーナス」の異名を持ち、劇場でスターとなる。ヘミングウェイは、「これまで見たことのある最もセンセイショナルな女性」と賞賛している。『ミッドナイトインパリ』では一九二〇年代のパーティーでダンスを披露。

 

不安 ベルモンテ

フアン・ベルモンテ[一八九二年 – 一九六二年] スペインの実在する闘牛士。映画のなかではヘミングウェイと一緒にパーティーに参加している。

 

ダリ

サルバドール・ダリ スペインの画家。承認欲求が強く、自らを「天才」と称し、奇行や逸話でも知られるシュルレアリストの画家。ダリが好んだモチーフに「サイの角」があり、映画のなかでもサイの形状について何度も語る。

 

ルイス ブニュエル

ルイス・ブニュエル アメリカ出身でメキシコに帰化した映画監督、俳優。シュルレアリスムとエロティシズムの作品で有名。『ミッドナイトインパリ』では、終盤、ギルがパーティーでブニュエルに「映画のいいアイディアがあります、晩餐会の客が帰ろうとするが帰れない」と言うと、ブニュエルが「なぜだ」と問う。これは実際にブニュエルが一九六二年に発表している『皆殺しの天使』という映画に由来するジョーク。不条理な作風のシュルレアリストが、このシーンでは、「なぜ帰れないんだ」と若干引き気味なのが面白い。

 

マン・レイ

マン・レイ アメリカの写真家。『ミッドナイトインパリ』では、ダリが飲んでいたカフェバーにブニュエルと一緒に訪れ、ギルの「未来から訪れた」という話に、「君は二つの世界の住人、なんら不思議ではない」と語る。

 

バーンズ

ジューナ・バーンズ アメリカの著作家。一九二〇年、三〇年代のパリでボヘミアン的な生活を送る。映画では、遊園地のような装いのパーティーで、ギルがバーンズと知らずに一緒に踊り、アドリアナに言われ気づく。

 

アンリ マティス

アンリ・マティス フランスの画家。フォビズムのリーダー的存在。色彩豊かな作風で自然をこよなく愛する二十世紀を代表する画家の一人。

 

一八九〇年代(ベルエポック時代)

ベルエポック時代とは、一八九〇年代から第一次世界大戦前の辺りで、パリが華やかに繁栄した時代を指す。

一九二〇年代に生きるアドリアナ(ピカソの愛人で、ギルが恋する女性)が憧れたのも、このベルエポックの時代だった。

 

ロートリック

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック[一八六四年 – 一九〇一年] フランスの画家。十代半ばのときに右足と左足をそれぞれ骨折し、以来、脚の発育が停止。成人時の身長は一五二センチしかなかった。障害者としての差別も影響したのか娼婦や踊り子といった夜の世界の女に共感し、ムーランルージュなど華やかなポスターの絵も描く。アルコール依存や性生活の奔放さで梅毒にかかるなど、心身ともに衰弱。若くして亡くなる。

 

エドガー ドガ

エドガー・ドガ[一八三四 – 一九一七年] フランスの印象派の画家。ただ、印象派と言ってもモネのような光を写し取った画風と違い、むしろ「現代生活の古典画家」と位置づけられた。娼婦や踊り子などをよく描いた。

 

ゴーギャン

ポール・ゴーギャン[一八四八年 – 一九〇三年] フランスのポスト印象派の画家。仕事の余暇の日曜画家として絵を始める。ゴッホとの共同生活やタヒチ滞在が有名。

画像はWikipediaより

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小さな町に住んでいるピエロです。